海洋の酸性化はすでに始まっている?

今月は海の酸性化。海洋酸性化についてお話しします。
海洋酸性化?海が酸性になるのですか?
はい。
正確には海が酸性に近づいているということです。

海洋酸性化とは

人間活動によって排出される二酸化炭素は、地球温暖化を引き起こす主要な温室効果ガスです。地球温暖化は、海水温の上昇や海面水位の上昇を引き起こし、海洋環境にも影響を及ぼします。さらに近年、大気中に放出された二酸化炭素を海洋が吸収していることにより引き起される問題として「海洋酸性化」が指摘されています。
温室効果ガスの二酸化炭素が原因で海洋酸性化は引き起こされます。
またまた出てきましたね、二酸化炭素。
海が二酸化炭素を吸収することで酸性化されます。

海は酸性化で中性になる

海であろうと湖であろうと、はたまたコップの水であろうと、空気と接している液体には空気が溶け込む。もちろん、空気に含まれる二酸化炭素も溶け込む。二酸化炭素が溶けた水は酸性になる。大気中の二酸化炭素が増えると海に溶ける二酸化炭素の量も増え、海の酸性度は増す。これが海洋の酸性化だ。
もっとも、酸性化とはいうものの、海の水がほんとうに酸性になってしまうのではない。海水は本来がややアルカリ性なので、それがすこし酸性側に傾いて中性に近づくということだ。
空気と接している液体は、その空気を吸収しています。
空気が液体に溶け込みます。
二酸化炭素が溶け込むと酸性化すると。
はい。二酸化炭素が溶け込むことで酸性に近づいていきます。
海はもともとアルカリ性なので、
酸性化されることで中性に近づいていると言った方が正確ですね。
ふむふむ。そもそも海ってアルカリ性だったのですね。
あまり意識したことなかったです…。

なぜ海はもともとアルカリ性なのか

約46億年前に誕生した地球は、マグマの海に地表をおおわれていました。また、空は水蒸気や窒素、二酸化炭素や火山ガスなどにおおわれていました。やがて地球の温度が急速に下がってくると、大気中に含まれる水蒸気が雨となって降り注ぎ、大雨の時代が長く続きました。この雨が溜まったのが最初の原始の海となったのです。この原始の海は雨に溶けた様々な物質によって酸性の海でした。酸性の海水は地表のカルシウムや鉄、ナトリウムなどを溶かし中和されていき、現在の弱アルカリ性の海となりました。
もともと海ができた時、原始の海は酸性でした。
しかし、カルシウムや鉄などを溶かすことで、アルカリ性の海になりました。
地球ができてから長い年月をかけて、
酸性から弱アルカリ性に変わった海が、
人間のせいで酸性化されているのですね!
はい、二酸化炭素の排出量が非常に多いですからね…。

酸性とアルカリ性とは?

常温常圧の水溶液では、水溶液のpHが7より低いときは酸性、7より高いときはアルカリ性、7くらいのときは中性である。水素イオンの濃度の逆数の常用対数に相当する物理量であり、水素イオン指数(すいそイオンしすう)または水素イオン濃度指数(すいそイオンのうどしすう)とも呼ばれる。pHが低いほど水素イオン濃度は高い。pHが1低下することは水素イオン濃度が10倍に、1上昇することは水素イオン濃度が10分の1になることを意味する。
酸性とアルカリ性は水素イオンの濃度で決まります。
水素イオンが多いと酸性になります。
ふむふむ。水素イオンの濃度をpHで表すのですね。
はい。pHが低いほど酸性で、pHが1低下すると…。
はい。
水素イオン濃度が10倍になります。
なんと!

海洋酸性化はどのくらい進んでいるか?

産業革命以前の海の平均的なpHは8.17程度でしたが、現在の大気濃度380ppmでpHは既に8.06程度にまで低下しました。今後も表層海洋のpHは低下を続けると考えられます。深い海のpHも次第に低下していきますが、表層に比べればゆっくりした変化です。
先ほど、pHの見方をご説明しました。
海中の水素イオン指数は、
18世紀後半から19世紀はじめの産業革命以前はpHが8.17程度でしたが、
現在は、8.06程度に低下しました。
ちょっとの違いみたいですが、水素イオン濃度が1.1倍になったのですね。
はい。広大な海の1.1倍なので相当な変化ですね。
さらに、酸性化しやすい海域もあります。

酸性化しやすい海域

ひとつは、北極や南極など極域の海。二酸化炭素は水温が低いほど溶け込みやすいので、極域の海水は酸性度が高まりやすい。
もうひとつは、海の深いところから海水が上昇してくる「湧昇(ゆうしょう)」という現象がみられる海域だ。南極周辺の一部や米国の太平洋岸などが、これにあたる。水深の浅いところに多いプランクトンなどが死んで沈んでいくと、やがてその体は分解される。そのとき二酸化炭素が発生する。だから、海は深いところの酸性度が高い。このような海水が湧昇してくれば、海面近くの酸性度が高まりやすい。
もうひとつある。それは、河川の水が流れ込む海域だ。
二酸化炭素は温度が低いほど溶け込みやすいので、北極・南極は酸性化しやすいです。
さらに海の深いところはプランクトンの死骸が分解された時に二酸化炭素が発生するので、
酸性度が強いです。
そのため、海水が上昇している海域も酸性度が高くなります。
そして、川の水が流れ込む海域が酸性化しやすいです。
酸性化しやすい海域は、たくさんありますね。

現在の海洋酸性化はどのくらい深刻か?

海洋の酸性化が高濃度の汚染によって過去3億年来で最も早いペースで進んでいることが、1日の米科学誌サイエンス(Science)に発表された英米など5か国の共同研究で指摘された。地球上で生物の大量絶滅は過去4回起こっているが、海洋の酸化は現在が最もひどい可能性があり、海の生命体の将来が懸念される。
現在の海洋酸性化は、過去3億年来で最も早いペースで進んでいるそうです。
3億年!
約3億年は、昆虫が拡大したり、爬虫類が出現したタイミングですね。
その時から現代までで最も海洋酸性化が進んでいるのですから深刻ですね!
現在の海洋酸性化が深刻なことがわかりましたね。
出典
  • http://www.data.jma.go.jp/kaiyou/db/mar_env/knowledge/oa/acidification.html
  • https://www.oa.u-tokyo.ac.jp/learnocean/knowledge/0010.html
  • https://www.tfm.co.jp/lock/letter/marine.html
  • https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E7%B4%A0%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%B3%E6%8C%87%E6%95%B0
  • http://www.cger.nies.go.jp/ja/library/qa/6/6-1/qa_6-1-j.html
  • http://www.afpbb.com/articles/-/2862206

次回は酸性化が起こるとどのような影響が出るのかというお話をします。