2017年5月19日 第33回放送 「世界が取り組む問題バラスト水について」を分かり易く解説!

検索キーワードは「世界が取り組む問題バラスト水について」

今回取り上げるニュースはこれ

川崎汽船/25万重量トン型鉱石船を竣工 | LNEWS

NCF(Namura flow Control Fin)を船体船尾部に、Rudder Finを舵に搭載することで、プロペラ前後での水流を整え、推進性能の向上と省エネ効果を実現している。更に、バラスト水管理条約発効に先立ち、バラスト水処理装置を搭載しており、バラスト水の水質を制御することで海洋環境の保護にも努めている。

「バラスト水」条約に適した船舶が施工されました。

この聞きなれない「バラスト水」とは一体何のか?

今週は、「バラスト水」についてご説明します。


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バラスト水とは

バラスト水 – Wikipedia

船舶のバラスト(ballast:底荷、船底に積む重し)として用いられる水のこと。
貨物船が空荷で出港するとき、港の海水が積み込まれ、貨物を積載する港で船外へ排出される。

「バラスト水」は、船舶の重しとして使用される水のことです。

なぜ「バラスト水」が必要なのでしょう。


なぜバラスト水が必要なのか?

日本船主協会:海運資料室:海と船のQ&A

20万トン以上の貨物を積む大型の原油タンカーや鉱石専用船は、原油や鉄鉱石を積むためにペルシャ湾やオーストラリアなどに出かけていきますが、行きは何も貨物を積んでいません。
 長さが300m、船底からの高さが30mもあるような超大型の船でも、貨物を積んでいない時には、海に沈んでいる部分(喫水)は3mもありません。ちょうどプラスチックのお椀が浮いているようなもので、安定性も良くありません。 
それに、プロペラの直径は9mもありますから、プロペラの大部分が海面の上に出てしまって、これでは走ることが出来ません。このために、貨物船(商船)では船の喫水を深くして安定を良くするのと同時に、プロペラや舵を効率よく使うために、数万トンもの海水を重りの代わりにして専用のタンクに積み込んでいます。これをバラスト(水)といいます。

大型の船舶は積荷の重さで沈み安定しています。しかし、積荷を降ろした後、積む前は、軽くなり船が浮かび安定しません。

そこで「バラスト水」を船内に入れて重くして安定させます。


バラスト水のメリットとは

バラスト水問題とは – 横浜国立大学

バラストとは、波浪中で船体を安定させ、また適切な喫水やトリム(船体の前後方向の傾き)を確保して推進機を効率よく稼働させるために船舶に搭載される重しです。古くは、石や、鉛などの金属がつかわれていましたが、軽荷航海終了後は不要になるため、現在では積みおろしの容易な海水が主として使われています。

船は海の上を走行するので、海水を「バラスト水」として船内に取り込み、不要になったら船外に出す。海にすぐ返すことが可能です。

「バラスト水」はメリットが多く使用しやすいと思いますが、実は問題がありました。


バラスト水の問題点は?

船舶バラスト問題|株式会社 海洋開発技術研究所

世界中での船舶の移動に伴い、多量のバラスト水が国、地域を越えて移動していますが、その中のプランクトンが、排出された地域で生態系へ影響を与え、経済活動へも悪影響が生じる事態となっています。
バラスト水とは、船舶の安全、プロペラの効率、姿勢調整などのために船舶のタンクへ搭載する海水のことであるが、世界中で年間約120億トンの海水移動し、日本からは年間3億トンものが海水を外国へ“輸出”しているといわれています。

世界では、「バラスト水」は年間120億トンというものすごい量になります。

かなりの海水とプランクトンなどが、「バラスト水」として別の地域に運ばれて捨てられる。
それらのプランクトンなどが、各地で生態系に影響を与えていると言われています。


問題 : バラスト水と赤潮

バラスト水と外来種: 「水」の考察

日本とオーストラリアを結ぶ貨物船のバラストタンクを調査した結果、赤潮を発生させ、養殖魚を殺す有害植物プランクトン「シャットネラ」がタンク内の泥から1キログラムあたり140個も見つかりました。

これらは、船がバラスト水を排出する時、一緒に外部に出る恐れがあるといいます。

世界的な問題になっている赤潮の原因になるプランクトンが「バラスト水」の中から見つかりました。


問題 : バラスト水とヒトデ

バラスト水・海洋環境汚染防止へ一歩 – 琉球新報 – 沖縄の新聞、地域のニュース

北太平洋水域のヒトデが同南部でホタテガイやカキを食い荒らす被害も出ている。米国の五大湖では東欧原産の貝が発電所の吸水口を詰まらせる事態になった。米国原産のクシクラゲ類が黒海に侵入、プランクトンや魚の卵を捕食して漁業に打撃を与えている。

「バラスト水」にはプランクトン以外に生物も紛れていることがあります。

ホタテやカキを食い荒らすヒトデも運ばれています。さらに生態系にも影響を及ぼしています。


問題 : バラスト水とコレラ菌

コレラ菌は、どのようにして巨済沖まで来たのか 朝鮮日報 9/12|十三夜日記三軒目

専門家は、コレラ菌の流入経路としてまず「バラスト水」を挙げる。パク・ソンヒョン木浦海洋大学教授は、「大型船舶は、水に安定的に浮くため、船底にバラスト水と呼ばれる水を満たしてバランスを合わせたが荷物を載せて船が重くなると平衡水を抜き取る」とし「この時コレラ菌に汚染された海水が巨済沖に流れていった可能性がある」と述べた。

人に感染するコレラ菌も、「バラスト水」で運ばれることがあります。


船舶バラスト水規制管理条約

報道発表資料:「船舶バラスト水規制管理条約」が1年後の平成29年9月8日に発効することが決まりました – 国土交通省

「2004年の船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約」(※)が平成29年9月8日に発効することとなりました。同条約は、バラスト水に含まれる生物の排出に伴う環境への被害を防止するため、船舶に対してバラスト水の適切な管理を求めるものです。

我が国は、現存外航船へのバラスト水処理設備の設置年限について、世界の修繕ドックの処理能力を解析することにより、議論を主導しました。

世界的に「バラスト水」を適切な処理をして海に戻すよう定めた条約が今年の9月に発行されます。

具体的に「バラスト水」をどのように処理するのでしょうか。


バラスト水の処理について

船舶バラスト水の殺菌・中和|注目テーマ|技術情報・便利ツール|株式会社タクミナ

薬液注入方式では、海水を取り込む際に殺菌剤(次亜塩素酸ナトリウム)を注入し、水中の微生物を殺滅します。
排出時には還元剤(亜硫酸ナトリウム)を注入し、殺菌剤による残留塩素を中和・無害化してから排出します。
タクミナのスムーズフローポンプは以下のような特長から、こうした薬剤を注入するポンプとして採用されています。

「バラスト水」を船内に取り込む時に水中の微生物を殺滅させて、海に戻す時に無害化する方法があります。

まだまだ「バラスト水」対策は始まったばかりなので、これからもっといい方法が開発されるかもしれないですね。


今回の放送のまとめ

「海」は全人類の共有財産。「バラスト水」問題も世界での取組みが必須です。


広告企業活動での自然破壊を少しでも抑制するために、自然エネルギーの利用に取り組みませんか

今回の「バラスト水」のように、産業活動には必ず自然への影響が出ます。

破壊するだけの活動ではなく、環境を保護するための活動へ取り組みましょう。

ミタデンでは、環境への影響を十分に考慮した様々な設備の販売を行っております。

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